理事会の設置

一般社団法人では、必ず理事会を設置しなくてはならないわけではありません。

理事会を設置しない一般社団法人を設立した後で、理事会を設置することもできます。

また、理事会を設置した一般社団法人を設立した後で、理事会を廃止することもできます。

理事会を設置または廃止する場合は、定款に記載しなければなりませんし、登記をしなくてはなりません。この場合、社員総会の決議による定款変更と、変更登記手続きが必要です。

 

理事会の開催

理事会は、法人の業務執行の決定機関ですので、必要に応じて適宜、理事会を開催することになります。

しかしながら、頻繁に開催するとなれば、理事の負担は大きくなりますので、法人法では、理事会の決議省略や報告の省略の規定を設けています。

また、法人の代表理事・業務執行理事は、3か月に1回以上、業務報告が必要です。

この業務報告は省略できませんので、この業務報告に必要な頻度で理事会の開催が必要です。

 

理事会の決議

理事会の決議事項

理事会は、以下のような重要な業務執行の決定については、理事会で意思決定する必要があります。これを代表理事その他の理事に意思決定を委ねることはできません。

(1)重要な財産の処分及び譲受
(2)多額の借財
(3)重要なる使用人の選任及び解任
(4)従たる事務所その他の重要なる組織の設置、変更及び廃止
(5)業務に関する内部統制に関する体制の整備
(6)定款の定めに基づく役員等の法人に対する責任の免除の決定

理事会の決議要件

理事会の決議は、原則、決議に加わることができる理事の過半数が出席し、その過半数をもって行います。

 

 

 

(理事会の権限等)
第九十条  理事会は、すべての理事で組織する。
2  理事会は、次に掲げる職務を行う。
一  理事会設置一般社団法人の業務執行の決定
二  理事の職務の執行の監督
三  代表理事の選定及び解職
3  理事会は、理事の中から代表理事を選定しなければならない。
4  理事会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を理事に委任することができない。
一  重要な財産の処分及び譲受け
二  多額の借財
三  重要な使用人の選任及び解任
四  従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五  理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他一般社団法人の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
六  第百十四条第一項の規定による定款の定めに基づく第百十一条第一項の責任の免除
5  大規模一般社団法人である理事会設置一般社団法人においては、理事会は、前項第五号に掲げる事項を決定しなければならない。

(理事会設置一般社団法人の理事の権限)
第九十一条  次に掲げる理事は、理事会設置一般社団法人の業務を執行する。
一  代表理事
二  代表理事以外の理事であって、理事会の決議によって理事会設置一般社団法人の業務を執行する理事として選定されたもの
2  前項各号に掲げる理事は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。ただし、定款で毎事業年度に四箇月を超える間隔で二回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、この限りでない。

(競業及び理事会設置一般社団法人との取引等の制限)
第九十二条  理事会設置一般社団法人における第八十四条の規定の適用については、同条第一項中「社員総会」とあるのは、「理事会」とする。
2  理事会設置一般社団法人においては、第八十四条第一項各号の取引をした理事は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を理事会に報告しなければならない。

(招集権者)
第九十三条  理事会は、各理事が招集する。ただし、理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときは、その理事が招集する。
2  前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた理事(以下この項及び第百一条第二項において「招集権者」という。)以外の理事は、招集権者に対し、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を請求することができる。
3  前項の規定による請求があった日から五日以内に、その請求があった日から二週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は、理事会を招集することができる。

(招集手続)
第九十四条  理事会を招集する者は、理事会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各理事及び各監事に対してその通知を発しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、理事会は、理事及び監事の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

(理事会の決議)
第九十五条  理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2  前項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
3  理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4  前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5  理事会の決議に参加した理事であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

(理事会の決議の省略)
第九十六条  理事会設置一般社団法人は、理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができる。

(議事録等)
第九十七条  理事会設置一般社団法人は、理事会の日(前条の規定により理事会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第九十五条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその主たる事務所に備え置かなければならない。
2  社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。
一  前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3  債権者は、理事又は監事の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録等について前項各号に掲げる請求をすることができる。
4  裁判所は、前二項の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該理事会設置一般社団法人に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、前二項の許可をすることができない。

(理事会への報告の省略)
第九十八条  理事、監事又は会計監査人が理事及び監事の全員に対して理事会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を理事会へ報告することを要しない。
2  前項の規定は、第九十一条第二項の規定による報告については、適用しない。