役員等の法人に対する損害賠償責任
- 役員等は、その任務を怠った場合(任務懈怠)は、法人に対して、生じた損害を賠償する責任を負います。
- 理事が、理事会等の承認なしに競業取引をした場合は、その取引で得た額が、法人の損害額と推定されます。
- 理事が、利益相反取引を行ったことで、法人に損害が生じた場合は、当該理事や賛成した理事等には任務懈怠が推定されます。
この責任の免除について
ただし、一般法人法では、上記のような責任を免除できる場合を挙げています。
①総社員の同意
総社員の同意があれば、その全部を免除することができます。(全部免除)
②社員総会の特別決議による責任の一部免除
社員総会の特別決議によれば、任務懈怠について役員等が職務を行うにつき、それを知らずかつそれに重過失がない場合は、損害賠償額から一定の最低責任限度額を控除した額を限度として、免除することができます。(一部免除)
③定款の定めによる責任の一部免除
理事会設置法人の役員等が職務を行うことにつき、それを知らずかつ重過失がない場合は、事情により必要がある場合に理事会の決議によって理事等の損害賠償責任を上記の最低責任限度額まで免除できる規定を設けることが可能です。
④定款の定めによる責任限定契約
業務執行しない理事、監事など役員等が職務を行うことにつき、それを知らずかつ重過失がない場合に、定款で定めた範囲内であらかじめ一定の額を限度として免責する旨の契約締結ができる旨を定款で定めることが可能です。
免除の限度について
賠償の責任を負う額から「最低責任限度額」を控除した額を免除することができる限度の額となります。
当該役員の責任免除額
= 当該役員が負うべき賠償総額 ― 最低責任限度額
「最低責任限度額」とは
役員等が一般社団法人から職務執行の対価として受けまたは受けるべき財産上の利益の1年分に以下の数字を乗じた額。
- 代表理事:6年分
- 代表理事以外の業務執行理事等:4年分
- 上記以外の理事、監事、会計監査人:2年分